関西ゲージ理論セミナー


関西圏の大学で月に一回程度行う、ゲージ理論とその周辺に関するセミナーです。
関西ゲージ理論セミナーは2022年4月よりGauge Theory Seminar へ移行しました.


世話係 
加藤 毅 (京都大学)
中村 信裕 (福島県立医科大学)


これまでの講演

2022年

2月18日(金) 14:00-15:00,Zoom を用いたオンラインでの開催

岸本大祐(京大)

Upper bounds for virtual dimensions of Seiberg-Witten moduli spaces

Given a closed four-manifold with $b_1 = 0$ and a prime $p$, it is shown that for any mod $p$ basic class, the virtual dimension of the Seiberg-Witten moduli space is bounded above by $2p − 4$ under a mild condition on $b_2^+$. The proof uses the Bauer-Furuta invariant and a property of the stable cohomotopy groups of complex projective spaces, where the latter may not be familiar to geometers. I will mainly explain the computation of the stable cohomotopy groups of complex projective spaces for non-experts.

This is joint work with T. Kato, N. Nakamura, and K. Yasui.


2021年

Involutions, knots, and Floer K-theory 連続講演会(11/20-12/4)


7月6日(火) 13:30-15:30,Zoom を用いたオンラインでの開催

谷口正樹(理研 iTHEMS)

Positive scalar curvature and homology cobordism invariants II

この講演は, (同タイトルの講演 I)に続くものであり, 今野北斗氏との共同研究である. Iで述べられた本研究の主定理を用いて, 正スカラー曲率を持たないような4次元多様体のいくつかの無限系列を与える. また, enlargeabilityなどの既存のテクニックとの比較も述べる. 本講演の主題は, 主定理の証明を与えることである. 証明には主に, 周期的端を持つ4次元多様体のSeiberg-Witten方程式と, そのホモトピー論を用いた取り扱いを用いる.


6月29日(火) 13:30-15:30,Zoom を用いたオンラインでの開催

今野北斗(東大数理)

Positive scalar curvature and homology cobordism invariants I

この講演では,最近の谷口正樹氏との共同研究(arXiv:2104.10860)の背景および主結果を解説する.与えられた多様体が正スカラー曲率計量を許容するかはRiemann幾何の基本問題であるが,今回はこの問題を4次元において考える.考える4次元多様体はホモロジーが $S^1\times S^3$ のそれと同じようなものであり,このクラスに対しては4次元における正スカラー曲率計量の存在への代表的な障害であるSeiberg-Witten不変量が使えない.このような4次元多様体に対する正スカラー曲率計量の存在へのSeiberg-Witten理論によるアプローチは,これまでJianfeng Linの研究および谷口氏・講演者による先行研究の二つがあるのみであった.今回の結果は,これらの二つの先行研究を統合し,さらにSeiberg-Witten理論としては現状期待し得る中で最善と思われるような障害を得たというものである.主定理はSeiberg-Witten Floer安定ホモトピー型の言葉で書かれる.


5月28日(金) 13:00-14:00,Zoom を用いたオンラインでの開催

高田土満(新潟大学・教育)

Seiberg-Witten写像の「Pin(2)同変K理論的写像度」と奇素数位数巡回群の表現論

Seiberg-Witten写像の「Pin(2)同変K理論的写像度」は11/8不等式の研究に強力な応用を持つ(いわゆる10/8不等式).Bryanは,$(\mathbb{Z}_2)^q$作用付きの多様体や$\mathbb{Z}_{2^q}$作用付きの多様体に対して,Seiberg-Witten写像の「Pin(2)同変K理論的写像度」の$(\mathbb{Z}_2)^q$同変版や$\mathbb{Z}_{2^q}$同変版を考えることで,10/8不等式を,特別な場合に改善してみせた. 本講演では,pを奇素数として,$\mathbb{Z}_p$の作用がある場合に,Bryanのそれとは異なる手法で,Seiberg-Witten写像の「Pin(2)同変K理論的写像度」の$\mathbb{Z}_p$同変版を計算したという結果を発表する.本講演は,加藤毅氏(京都大学)との,実行中の共同研究に基づく.


4月13日(火) 10:00-11:00,Zoom を用いたオンラインでの開催

井森 隼人 (京都大学)

Representation variety and singular instanton homology of torus knot with various holonomy conditions

$3$次元多様体内の結び目の補空間上で定義された接続であって, あるホロノミー条件を満たすものを特異接続と呼ぶ. Kronheimer-Mrowkaは特異接続を用いて, 結び目に対するインスタントン・ホモロジーを構成した. 結び目のインスタントン・ホモロジーは, 主にmonotoneと呼ばれる特殊なホロノミー条件に制限した構成が注目されてきたが, Echeverriaによって, より一般のホロノミー条件に対する構成も導入されている. 本講演では, 主結果としてトーラス結び目のTristram-Levine signatureが特異平坦接続のabsolute countingを用いて与えられることを示し, その応用としてトーラス結び目に対するEcheverriaのインスタントン・ホモロジーが, 複体レベルで偶数次数において消滅することを紹介する. さらにDaemi-Scadutoによる$\mathcal{S}$-complexの概念を用いた, 結び目のコンコーダンスの問題への応用に向けた方向性についても述べる予定である. 本講演は発表者の修士論文に基づく.


勉強会 「特異インスタントンとKhovanovホモロジー」
2021年3月20日-3月31日
2月25日(木) 14:00-15:00,Zoom を用いたオンラインでの開催

宮澤 仁 (東大数理)

向き付け不可能な3次元多様体へのスピンc構造の拡張とmod 2指数

今回の講演では, $Spin^c$構造と$Pin^+$構造の共通の一般化である$Pin^{\tilde c}_+$構造を考え, この構造に対して自然に定まる解析的mod 2指数の研究について話す. 主定理は, $8k+3$次元の場合に, 元の多様体のmod 2指数と余次元$2$のある部分多様体上に誘導される自然な$Spin$構造から定まる解析的mod 2指数が一致することである. さらに, 3次元の場合にはスピンボルディズム群を用いた位相的指数が定義でき, 解析的mod 2指数と位相的mod 2指数の一致が示せる. 応用として, 3次元の場合の主定理を用いて, 4次元のゲージ理論への応用を述べる. 具体的には, 中村信裕によって導入された$Pin^-(2)$モノポールのモジュライ空間の向きの局所系が位相的に決定できることを示す. 今回の講演の内容は, 同タイトルの宮澤の修士論文による.


January 25 (Mon) 15:00-16:00,Zoom を用いたオンラインでの開催

Minjie Tian(Kyoto University)

Explicit construction of Atiyah-Singer index map for maximally hypoelliptic operators on contact manifolds

Connes constructed the tangent groupoid and verified the Atiyah-Singer index theorem for an elliptic operator over a manifold. Higson constructed an asymptotic morphism whose induced map coincides with the index map. In this talk, we give a survey on some basics of theory of contact manifolds and present a variant of such index theory for a maximally hypoelliptic operator over a contact manifold.


2020年

研究集会
12月2日(水) 15:00-17:00,Zoom を用いたオンラインでの開催

今野 北斗(東大数理)

The groups of diffeomorphisms and homeomorphisms of 4-manifolds with boundary

本講演は,谷口正樹氏(理化学研究所)との共同研究に基づく.講演内容は同じタイトルのプレプリント(arXiv:2010.00340)の解説である. 主結果は,境界付き4次元多様体の滑らかな族に対するFroyshov型の不等式の拡張である. 基本的な方針は,昨年のBaraglia氏による閉4次元多様体の族に対するDonaldsonの対角化定理的な制約を,ManolescuのSeiberg-Witten Floerホモトピー型を使って境界付きにすることである. 応用として,境界付き4次元多様体の微分同相群と同相群のホモトピカルな比較ができる.本講演では主結果の証明の解説をメインとする予定である.


International Workshop on 4-Manifold Theory and Gauge Theory
11月4日(水)~5日(木), Online(Zoom)
10月29日(木) 10:00-11:00,Zoom を用いたオンラインでの開催

中村 信裕(大阪医科大学)

Mod 2 Seiberg-Witten simple type

$b_2^+>1$ の滑らかな有向閉 $4$ 次元多様体 $X$ に対して,モジュライ空間の次元が 0 でなければ Seiberg-Witten 不変量の値が常に偶数であるとき $X$ は mod 2 Seiberg-Witten simple type であると呼ぶことにする. 本講演では $4$ 次元多様体 $X$ が mod 2 Seiberg-Witten simple type であるための一つの十分条件が $X$ のコホモロジー環についての条件で与えられることについて解説する. 次の応用がある:(1) 自己交叉が負のときの adjunction 不等式,(2) geometrically simply connected な閉$4$次元多様体 $X$ が緩やかな位相的な条件を満たせば $X$ のどちらかの向きに対してSeiberg-Witten 不変量の値が常に偶数であること. (本講演は加藤毅氏,安井弘一氏との共同研究 math arXiv:2009.06791に基づく.)


7月22日(水) 16:00-17:00,Zoom を用いたオンラインでの開催

Dexie Lin(The University of Tokyo)

Monopole Floer homology for codimension-3 Riemannian foliation

In this talk, we give a system study of Seiberg-Witten theory on closed oriented manifold $M$ with codimension 3 oriented Riemannian foliation $F$. Under a certain topological condition, we construct the basic Seiberg-Witten invariant and the monopole Floer homologies $\overline{HM}(M,F,\mathfrak{s};\Gamma),~\widehat{HM}(M,F,\mathfrak{s};\Gamma),~\check{HM}(M,F,\mathfrak{s};\Gamma)$, for each transverse $\mathrm{spin}^c$ structure $\mathfrak{s}$, where $\Gamma$ is a complete local system. We will show that these homologies are independent of the bundle-like metric and generic perturbation. The major difference between the basic monopole Floer homologies and the ones on manifolds is the necessity to use the Novikov ring on basic monopole Floer homologies.


6月29日(月) 16:30-17:30, 京都大学九州大学信州トポロジーセミナーとの共同開催,Zoom を用いたオンラインでの開催

窪田陽介(信州大)

Twisted equivariant K-theory of operator algebras and topological phases of matter

Abstract: In the theory of condensed-matter physics, twisted equivariant K-theory (in the sense of Freed-Moore) of the torus is known to classify the topological phases of matter. For both theoretical and computational reasons, it is useful to generalize this twisted equivariant K-theory to the category of C*-algebras. In this talk I will introduce the foundation of the twisted equivariant K-theory for C*-algebras and its use in the theory of topological phases.


5月25日(月) 16:00-17:00, 京都代数トポロジーセミナーとの共催,Zoom を用いたオンラインでの開催

蔦谷充伸(九州大学)

Homotopy types of spaces of finite propagation unitary operators on $\mathbb{Z}$

Abstract: 距離空間 $X$ 上のuniform Roe algebra $C^*_u(X)$ は $X$ の巨視的な幾何の情報を持つ $C^*$-代数であり、 その$K$群は指数定理への応用をもつなど重要である。 $K$群は作用素環の乗法群(極分解によりユニタリ元のなす群とホモトピー同値)を、 ある操作でホモトピー論的に安定化させて得られる空間のホモトピー群として定義される。 $K$群が計算できる場合でも、安定化させる前の乗法群のホモトピー型そのものや、安定化の過程における振る舞いには不明な点が多い。 本講演では距離空間 $X$ として整数の全体 $\mathbb{Z}$ をとった場合に、$C^*_u(\mathbb{Z})$ やその変種の乗法群とGrassmann多様体との間の関係を論じ、 また、これらの乗法群が強い安定性を持つことを示す。 本講演は加藤毅氏、岸本大祐氏(ともに京都大)との共同研究に基づく。


4月22日(水) 11:00-12:00, Zoom を用いたオンラインでの開催

今野北斗(東京大学)

Diff vs. Homeo in dimension 4: recent development

Abstract: 昨年から今年にかけて,4次元多様体の同相群・微分同相群のホモトピカルな比較に関する結果が複数現れた.本講演ではそれらを時系列順にサーベイする.具体的には以下の内容に触れる予定であるが,主目標は中村信裕氏・講演者による最近の結果(3)の紹介である: (1)加藤毅氏・中村信裕氏・講演者による10/8型不等式のある制約下での族版から得られる結果. (2)Baraglia氏によるDonaldsonの対角化定理の族版から得られる結果. (3)中村信裕氏・講演者による(2)の結果の$\mathrm{Pin}^-(2)$-モノポールを用いた拡張. また,時間に余裕があれば,(2), (3)の間に現れた以下の結果についても簡単に触れる: (4)Kronheimer-Mrowka両氏による$K3\#K3$上の自己微分同相写像についての結果. (5)J. Lin氏による,(4)の結果の $S^2 \times S^2$ による安定化に関する結果.


研究集会
4-Dimensional Topology and Gauge Theory
1月27日(月)~29日(水), エスカル横浜(2階会議室)
1月18日(土) 京都大学理学研究科3号館108号室 14:00-17:00

高田 土満(東京大学)

無限次元多様体のK理論的Poincaré双対

Abstract: KasparovによるK理論的Poincaré双対は,多様体の主表象のなす群(係数付き,非コンパクト台の位相的K群)と,多様体のDirac作用素のなす群(関数環の解析的Kホモロジー)の間の同型を主張する. この定理は,組み立て写像というKK理論的構成と組み合わせることで,Dirac作用素の指数が位相的なデータから決まることを保証する. 私の現在の研究テーマは,このK理論的Poincaré双対を,無限次元多様体に対して定式化することである. 本講演では,その現在進行中の研究について説明する.

キーワード:KK理論,K理論的Poincaré双対,無限次元多様体,ループ群,無限次元Heisenberg群,Higson-Kasparov-Troutの$C^*$環,非局所コンパクト空間に対する$\mathcal{R}KK$理論


過去の講演